応援メッセージ
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ピックアップレーサー記者コラム

ピックアップレーサー記者コラム

4320 峰竜太

令和5年優秀選手表彰式典で、最高勝率選手に輝いた峰竜太は「数字を求めてきたこともありましたが、これからは違うものを追求していきたいです」と話した。
それは「ほんとうの強さ」だという。

重みがある言葉の背景には学生時代の学びがあり、今に結びついている。「先生が言ってくれたひと言が励みになり…」、進路を変え、学業に勤しみ、部活動で活躍してきた過程はプロレーサーになっても変らない。他者から影響を受けつつ自ら道を切り拓いてきたのだ。

「ほんとうの強さ」とは獲得賞金額・優勝回数・勝率などの成果ではなく、プロセスを最も大切にする姿勢を貫くこと。つまり、成功も失敗も、勝利も敗北もあるボートレースという競技において、結果に左右されない確固たる態度を築きあげる意志がそこにあるのだ。

今年は3月11日時点で賞金ランキング第2位。浜名湖周年記念(1月)と芦屋九州ダービー(2月)を制しており、その姿勢は結果にもつながっている。
シリーズ5日目に39歳の誕生日を迎える「哲人」は地元唐津でV24と圧倒的に強いが、意外なことに記念優勝がない。となれば、「ほんとうの強さ」を地元ファンに披露する絶好の機会が今大会といっていいだろう。


3590 濱野谷憲吾

SGV5,G1V25の「東都のエース」は、昨年11月に50歳になった。
20代の頃は、圧倒的なスピード戦でファンを魅了。デビュー5年半でG1タイトル(1997年9月桐生周年)を、さらにその1年後にはSGタイトル(1998年10月福岡ボートレースダービー)を手にしている。その後の活躍はいうまでもなく、A1級は2024年前期を含め58期連続。その実力は凄まじいばかりである。

2021年7月の芦屋オーシャンカップで優勝した際、「まだまだ若い者には負けていられませんからね…」と言いながら笑ってみせたが、それは照れ隠しでも何でもない。シリーズでまくりを連発したように、年齢を重ねてなお攻めるレースを通す気概に満ちているのだ。

2023年は常滑周年(9月)や唐津周年(9月)を含めV5。年末のグランプリにも進出した。今年も2月の関東地区選手権(平和島)で、5コースからまくり差して優勝。そのレース展開力をファンの前で証明している。

だからだろう。多くの若いファンが「カッコいいから」と応援するのだ。
群れず騒がず飾らない第一線級のベテランが、実績ある唐津の水面で縦横無尽に滑走する姿に酔いしれたいものだ。


4262 馬場貴也

「こういう人物を、いい男っていうんです」。
地元びわこの60代のファンはこう言う。
長い間ボートレースを見てきた歴史の証人は、「果てなき向上心」「途切れない集中力」「あきらめない粘り」、そして「分かりやすいレーススタイル」と「人を大切にする姿勢」「爽やかさ」をもって、高く評価しているが、これはファンだけでなく関係者など多くの者が共通して感じている馬場貴也の人間性である。

その懐の深さは果てがなく、滋賀支部長として自分のことはさておき、他人を慮(おもんばか)ってばかりしてきたが、「いや、それがあって強くなれたんだと思います」と語るほど。感謝の気持ちの塊である。

「景色が変わりました」と話したのは2018年の芦屋チャレンジカップでSG初Vを果たした後、以降、2019年12月の住之江グランプリシリーズ、2022年10月の常滑ボートレースダービー、2023年8月の福岡ボートレースメモリアルを制しSG4冠。G1は昨年の住之江近畿ダービーと12月の丸亀周年記念を含めV6としている。

記念レーサーをして「あのターンはマネできない」と言わしめる美しいハイスペックターンで、感動を呼ぶ唐津ダイヤモンドカップとなることだろう。


4444 桐生順平

桐生順平はありのままの人である。
たとえば、ドリームインタビューで分からないことは分からないという。言葉数が少な目なためアピール度は決して高くないが、よく聞くと多くのヒントが隠されている。レース足は分からないが、わかる範囲の体感は口にしている。つまり虚飾を嫌う人物である。

歌舞伎に「外連(けれん)」という用語があるが、これは「見た目本位の奇抜さをねらった演出や演目」「早替わり」「宙乗り」「仕掛け物」「ごまかし」「はったり」を指すという。
桐生順平にはその外連がない。
かつて、「自分は、ファンの声援は全部うれしいです。たとえどんなに厳しい声をいただいても…です」と語ったことがあるが、まさに「正味で勝負したい」と考えているアスリートなのだ。

昨年は1月の若松周年と6月の戸田周年で優勝。年末のグランプリにも出場したが、6年ぶり2回目の黄金のヘルメット戴冠はならなかった。
SG3冠(2015年3月の尼崎ボートレースクラシック、2017年3月の児島ボートレースクラシック、2017年12月の住之江グランプリ)に加え、G1V17としている関東の雄が、2013年3月に新鋭リーグ(当時の名称)で優勝している唐津に参上する。


4586 茅原悠紀

昨年半ば、茅原悠紀はこう発言していた。
「ファンの皆さん、レースを楽しんでますか?自分もレースを楽しみたいです」。

しかし、年末のグランプリ出場選手インタビューでは「戦いを楽しみながらこの舞台に立つことができましたね…」という趣旨のインタビューに対し、「いや、グランプリに出ることが目標ではないです」と明確に返答している。
つまり、「グランプリで勝つことだけを目指してきた」というのである。
当然、今年もそうだ。目指すはテッペンである。

そんな茅原悠紀のレースぶりを示す1着率データ(2023年3月~2024年2月集計)がある。
1コース 77.6%
2コース 40.0%
3コース 35.0%
4コース 12.8%
5コース 14.6%
6コース  2.9%

際立っているのは2コース1着率だが、ちなみに2コース2連対率は70.0%、3連対率は82.5%と驚異的。その2コース実績が、2023年11月1日~3月11日までの勝率8.24に反映している。来期を含め3期連続8点台の勝率の可能性が高いのだ。

SGV1(2014年12月平和島)、G1V10のボートレース王国岡山の勇者が唐津水面を支配するに違いない。


4831 羽野直也

「1期下に仲谷颯仁という人がいまして…」。2017年10月の大村周年記念を制した羽野直也は、インタビューでこう話し周囲を笑わせた。G1初優出初優勝を成し遂げ、仲谷と争っていた「最優秀新人選手」の座をほぼ手中にした瞬間だった。「彼がどうかは分かりませんが、自分は意識していました」と答えていたものだった。
そして、翌年2月の優秀選手表彰式典では緊張した面持ちで「強い選手と戦っていくためにも自分を超えていきたい」と語ったが、デビュー10年目の今、まさにそれを実現している。

そのレースは視野が広く、ちょっとした相手の動きに即応する柔軟性に富んでいる。流れの中で勝機をつかむ戦法は「柔よく剛を制す」スタイルといっていいだろう。

「壁に当たった時に野球から教えてもらったことが役立つと思う…」と語ったことがあるように、そこには競技を通じて鍛えた身体能力と直観力がベースにあるが、もうひとつ素直さという宝ものを忘れてはならない。
人の話しをよく聞き、自分の価値観や感性と照らし合わせ実行する力である。

それが昨年の児島オーシャンカップ優勝につながっている。今度は唐津でどんなドラマが待っているだろうか。