ピックアップレーサー記者コラム

遠藤エミは、2021年から2023年の3年間にわたり女子賞金ランキング1位に輝いている。

2021年は浜名湖レディースチャンピオン、2022年は大村ボートレースクラシック、そして2023年は津のレディースチャンピオン優勝が大きな功績。おのずと、「優秀女子選手」に3年連続で選出されている。そのほか、記念タイトルは2017年の大村クイーンズクライマックスもあり、まさに女子レーサー第一人者である。

ただ、自身はまだ先をみている。

かつて、「自分以上に自分を信じてくれる方々がいる…」と涙したことがあったが、勝ち負けが繰り返される世界にいて自らを信じ続けることは容易いことではなく、周囲の支えや応援こそががんばる力。レーサーとして道半ばなのだ。

そのレースは偏りがなくオールマイティ。的確なスタートからのさばきに持ち味がある。女子トップレーサーの特徴のひとつでもある2コースまくりも含め、緩急の利いた戦法で勝利し接戦をモノにする。また、調整面でも経験が生きており、好素性機を引けばプロペラ調整を施さないノーハンマーを通すガマン強さもある。当然のことながら、優勝候補筆頭として注目される地元シリーズである。

守屋美穂は人気&実力ともに女子レーサーの先頭をゆく。年末のクイーンズクライマックスは第7回大会から6年連続でファイナルに進出しているほど。ちなみに、昨年12月の多摩川クイーンズクライマックスは優勝戦3着だった。

さらに、2020年8月の第34回レディースチャンピオンでは優勝戦1号艇をゲット。結果はファイナル2着だったが、シリーズの主役として輝きを放っていた。

ただ、G1優勝には至っていない。ファンの願いのひとつはそこにあるだろう。

レディースオールスターは2022年5月の桐生シリーズで優勝(4コースまくり)。その年はV5としている。昨年は宮島・丸亀・桐生・児島のヴィーナスシリーズを制し、女子賞金ランキング2位でグランプリシリーズ4回目の出場を果たしている。

しかし、本人は「もっとレースがうまくなりたい」とか「結果を出していないのにファンの皆さまに投票いただき感謝しています」と語る。応援に見合う成果で恩返ししたいと考えているのだ。

そういう意味で、このレディースオールスターは意義深い。今大会を含めファン投票は3年連続1位。第6回の桐生では4コースまくりで優勝を果たし期待に応えた経験をもつ。

2002年11月12日にとこなめでデビューした長嶋万記は選手生活22年目に入っている。

それでいて初々しい。

その魅力について、レジェンド・今村豊さんはこう評している。

「とにかく研究熱心。積極的にいろいろ聞いてくる選手です。僕なりのスタートの仕方について伝えたこともありましたが、とても素直に聞いてくれました。僕が伝えたいことを深く理解しようとしてくれる選手のひとりです」と話す。

それは、ものごとのとらえ方や考え方からきており、「バードアイというんでしょうか、全体を俯瞰(ふかん)で見る視点の重要性を感じています」と話す。外からの刺激に素直に応じ、自らを改善・向上させようという前向きなハートの持ち主なのだ。

それはそのままレーサーとしてのあり方や社会貢献活動の姿につながっている。

2023年は2月の蒲郡G2レディースオールスターや11月のG2レディースチャレンジカップを含めV7と比類なき力を誇ったが、まだまだ成長過程。レースで大切な体幹を鍛え、さらなる高みを目指している最中である。

流れの中でレースを展開する力は秀逸。たとえ苦しい状況にあっても冷静に方向性を見い出す人間力が、きっとびわこで発揮されることだろう。

「去年はレディースチャレンジに出ることが目標で出ることができ、今年はここに出るのが目標でそれもかなった。来年の目標はSGに出ることだったが、それもかなったので、どうしましょう。SGの水神祭を目標にします」。

2023年を締めくくりこう話したのは浜田亜理沙。多摩川のプレミアムG1クイーンズクライマックス優勝後の言葉である。

通算10度目のVでG1初制覇、さらに通算500勝と記録にも記憶にも残る大会だったが、これにより戸田で開催されるボートレースクラシックの出場権を獲得(SG初出場)。夫の中田竜太とともに出場することとなった。

デビュー当時からポテンシャルの高さが評価されていたが、産休などもあり女子レーサーの第二集団的存在となっていた浜田亜理沙。

しかし、実力は本物で今期を含め8期連続でA級をマークしている。今期勝率7.02はキャリアハイである。

スタートは1艇身を平均的としながらも艇団の前にいることが多く、先手を打てる位置から攻勢に出るのがスタイル。ゆえにセンター戦で強いことは多くのファンがよく知っている。

記念ウイナーとなり、女子トップレーサーとしてますます人気を背負う日が近づいている。

『ママになっても元気いっぱい』

小野生奈はボートレース専門雑誌でこう紹介されている。

戦列を離れたのは2022年2月。桐生の第6回大会ではファン投票5位に選出されたものの参戦しておらず、2年ぶりのレディースオールスターの参戦である。

復帰は2023年3月の若松だったが、いきなり予選をクリア。以来、2024年1月9日までで16大会に出場し優出7回をマーク。今期勝率を7.07としB2からいきなりA1にランクアップしている。実力は圧倒的だ。

その勝負強さは自己を超えていこうとする姿勢にある。

デビュー当時から、決めたテーマに取り組み、それがクリアできればまた次の課題を自己設定するカタチで成績を伸ばしてきた。「サイドをかけ一瞬で舟を向けること」「回転を落とさず旋回し加速すること」を追求。ボートを自由自在に操るテクニックがもたらした成果のひとつが2017年の芦屋レディースチャンピオン優勝である。

プロフェッショナルとしての妥協なき志向が、揺るぎない敢闘精神やスピード感あふれる攻撃力となって表れ、2021年9月の大村ヴィーナスシリーズ以来22回目の優勝に結びつくことを多くのファンが待ち望んでいる。

群馬支部の115期生・深尾巴恵は今、レーサーとしての転換期を迎えている。

なかなか結果が出なかった低迷期を抜け、昨年11月の平和島一般戦で優勝したのだ。

それも、初優出、初優勝だった。

メンバーは…

1号艇 赤羽克也
2号艇 深尾巴恵
3号艇 山谷 央
4号艇 蜷川哲平
5号艇 久永祥平
6号艇 神田達也

つまり、男子相手に2コースから接戦を制し「抜き」で勝ち切ったのである。

その持ち味は2023年1年間のコース別1着率をみれば明らか。以下のとおりとなっている。

1コース 38.4%
2コース 29.0%
3コース 13.3%
4コース 11.1%
5コース 19.3%
6コース  0.0%

2コースと5コースの強さは圧倒的。2コース戦はまくりもある点に注目したい。

加えて、今期は勝率5.72で初めてA2に昇格するなど安定感も増している。

2019年の児島レディースオールスターでファン投票38位となり、オープニングセレモニーでボディコン姿を披露し話題を呼んだ関東のニューヒロインは、今年で選手生活10年目。

今大会はレース内容と結果で大いに目立ってほしいと、多くのファンが期待している。