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ピックアップレーサー記者コラム

学生時代サッカーをしていた高憧四季は、大阪学芸高でフォワードやミッドフィルダーとして活躍。インターハイベスト16、選手権ベスト8の原動力だった。ただそれでも大学進学を選択せず、ボートレーサーへの道を選んでいる。「男女の別なく競技ができること」「強くなれば有名になれること」が動機。根っから競い合うことの好きなアスリートである。デビューは2019年5月の住之江。ほどなくキレのいいさばきで頭角を現し、2022年後期には初A2をマーク。2023年後期に勝率6.20で初めてA1に昇格している。来期の2024年前期は出走回数不足のためB1となるが、実力は本物。その証明が、2023年3月の下関ヴィーナスシリーズVだ。鮮やかな差しハンドルで自身初優勝を飾っている。そのレースの魅力はスピード戦。センターまくりは多くのファンが知るところだが、それはデータに顕著。3・4コースの1着率(2022年11月1日~2023年10月31日)は、ともに22.2%。3連対率は3コースが69.4%、4コースは77.7%となっている。それでいてイン1着が69.0%もありまさにオールマイティだ。準地元びわこでの躍動に期待したい。
大豆生田蒼がボートレースと出会ったのは中学時代。いきなりの衝撃だった。「女性だからとか、男子にしか…というのではない世界で活躍したい気持ちがあった」という。プロの世界に飛び込む決意と覚悟はこの時から固まっていたのである。デビューは2012年11月の戸田。ちょうど満11年だが、2024年前期を含め5期連続でA2をマークするなどファンへの貢献度は高い。いわゆる全方位型の正統派だ。「やったらやっただけの成果を受け取れる」のがボートレーサーの魅力。だからこそ、努力を怠らないのだが、そのカタチの一つがメモを取ること。仔細なデータや感覚を記録し振り返ることで、次への備えができるという。まさに、温故知新の人である。たくさん練習を積んだホームプール戸田は淡水面。「…だから淡水で硬い水の方が好きです」という。今回の舞台びわこも淡水面。そのイメージを証明するように、2020年11月から今年10月までのびわこ2連対率は53.1%もある。3連対率は61.2%だ。覚えておいて損はないだろう。モットーは最後まであきらめない。「3周2マークまで、いやゴールするまで全力で走ります」と宣言する埼玉の中堅に妥協は一切ない。
師匠・山口達也をはじめ練習熱心な岡山支部レーサーの薫陶を受けながら、薮内瑞希は「乗って乗って乗り尽くすこと」「自分で考え挑戦するプロペラ調整」「スピード旋回」を大切に励んできた。目指しているのは「メリハリが利いたレース」である。そんな努力が実を結んだのが2022年の後半。勝率を5.43まで上げ、2023年後期に自身初のA2昇格を決めたのだった。それも、期末ラストの2023年4月30日(児島)に2着&1着とした結果。勝負駆けに成功したのである。2024年前期適用期間のはじめにフライングを切った(2023年5月2日・児島)影響もあり、再びB1級となるが、A級の世界をみた経験は大きい。再浮上するためにも、びわこヴィーナスシリーズは重要。持ち味を発揮し、最低でも予選をクリアしたいところだ。主戦場はスロー水域。過去1年間(2022年11月~2023年10月)の1コースから3コースまでの成績は以下のとおりだ。1コース/1着率42.8% 3連対率68.5%2コース/1着率13.1% 3連対率73.6%3コース/1着率13.0% 3連対率49.9%シリーズのアクセントになる存在であることは論を待たない注目株だ。
学生時代、空手で日本一になった経歴の持ち主がボートレース界にいる。山口支部の野田彩加である。中2で空手の組み手日本一に輝いた20歳はその後アジアチャンピオンにもなったが、決然と方向転換する。小学校3年生の時に決意したボートレーサーの道への挑戦である。「たまたま見る機会があったんですが、それが男女混合戦でした。男女関係なく戦ってる姿がかっこよくて…。空手で悔しさも味わいましたし努力の大切さも分かったので、次の夢に向かおうと思ったのが志望動機です」という。ただ、女子としては身長が高いうえ、空手で鍛えていたこともあり体重は58キロ。それを1年かけ10キロも減らしたのである。「ボクシングジムにも通ったり、炭水化物摂取を減らすため学校ではゆで卵1個だけで過ごしたりしてしのぎました」。デビューは2020年5月の徳山だったが、水神祭まで1年3カ月を要することになる。初白星は2021年8月の三国。5コースから差しを決め96,460円(3連単)の高配当をたたき出し周囲を驚かせた。目指すのは、「自力で展開をつくるレーサー」。磨きがかかっているスピード旋回を武器に、得意のセンター戦でドラマを起こす時がきた。
北海道出身の孫崎百世は元プロスキーヤー。その後、ニュージーランドへの留学を経て京都で看護師になっている。救命救急の第一線で厳しい現実に置かれている生命と向き合う仕事だった。それは「直感に従って選択し歩んできた道」。別の病院勤務を考えていたある時、ボートレースのことを知り「直感」が反応したのだった。26歳の時である。働きながら受験し2度目で合格。養成所同期最年長ということもありジェネレーションギャップに悩んだこともあったが、28歳でプロデビューしている。座右の銘は「置かれた場所で咲きなさい」。北海道生まれの修道女で教育者の渡辺和子さん(故人)。つらいことから逃げたくなるのが人の常。しかし、自分の弱さから逃避せずできることを粘り強く続けることの大切さを身に刻んでいるのだ。咲けない時でも踏ん張って根を張り、時が来たら花を咲かせられたら…という。ケガの影響もあったが、困難を克服する力は計り知れない。2016年11月にびわこでデビューし満7年。まだA級昇格を果たしていないが、通算で77勝するなど舟券貢献度は上昇中だ。北海道阿寒湖のマリモのようにゆっくり大きく育つ人物である。
静岡の注目女子レーサー刑部亜里紗は柔道三段。大学時代(愛知学院大学)までひたむきに柔の道を極めんとしていた。得意技は背負い投げだという。そのフィジカルが認められ、高校2年の時にはレスリングで全国大会にも出場しているほどだ。「知り合いの知り合いにボートレーサーがいて浜名湖に観にいった…」のがボートレースとの出会い。「1マークの音とスピード、迫力に圧倒された」という。当時、高校の体育教師の免許も取っていた大学4年生だったが、1度だけ挑戦させてほしいと両親に訴え合格。その養成所では操縦面で苦労したが、リーグ戦で優勝を果たすなど結果も残している。2021年11月のデビュー当時の目標は「3年以内にA級レーサーになる」こと。その言葉通り来年1月にはA2に初昇格するが、その原動力は4コースカド戦。過去1年間(2022年11月~2023年10月)の1着率は23.3%、2連対率は43.3%にのぼるのだ。新人としては驚異的である。次なる目標は「A1昇格と初優勝」。実力だけでなく、今年2月の蒲郡レディースオールスターでもファン投票42位になるなどアピール力もバツグンの26歳が、びわこで目標のひとつ「初優勝」を目指す。