ピックアップレーサー記者コラム

 田村隆信は23年の3月15日に45歳の誕生日を迎える。24歳でG1初V(03年新鋭王座決定戦)、26歳でSG初V(04年オーシャンカップ)を飾るなど若い頃から第一線で活躍してきた田村も、気が付けばもうマスターズ世代に入るわけだ。時がたつのは早い。 そんな田村だがここ数年の成績は満足いくものではないだろう。グランプリ出場は19年を最後に3年連続で逃しており、SG優勝は11年チャレンジカップを最後に11年以上も遠ざかっている状態。なかなか結果を残せず苦悩する時期が続いている。 ただ近年のボートレース界を見るとマスターズ世代に入ってから力を取り戻してくる選手が多数。濱野谷憲吾や原田幸哉、辻栄蔵など45歳を過ぎてから久々にSGタイトルを手にした選手が多い。田村もこれらの選手たちに続きたいところだ。 23年を再飛躍のシーズンとするためにも、まずは年始の徳山MB大賞で弾みをつけたいところ。徳山ではまだ記念タイトルこそないものの、11年徳山周年で優出2着、13年徳山MB大賞で優出6着、14年徳山周年で優出3着、20年徳山周年で優出5着と当地G2以上優出4回をマークしており水面相性は上々だ。格上の走りでV争いを沸かせるのか。
 柳沢一にとって22年は充実したシーズンだったといえるだろう。31節走って16優出4V(12月22日時点)をマーク。3月に地元の常滑周年で優出3着に入る活躍があり、6月には唐津SGグランドチャンピオンで優出4着に入る快走もあった。また秋以降には10月の常滑一般戦、10月の下関一般戦、12月の常滑一般戦で立て続けに優勝するVラッシュも披露。記念戦線でも一般戦でも存在感を見せた一年だった。 強さを支えたのはなんといってもイン戦だろう。柳沢の22年のイン成績は68戦55勝で1着率80.9%のハイアベレージ(12月22日時点)。インでの平均STはコンマ11、平均ST順位は1.82という驚異的な速さで、スリット先制でイン速攻を決めるレースが目立った。ちなみに柳沢は22年にSGを5節走っているが、SGでのイン成績は7戦全勝の負けなしで、しかもそのうち6走はトップスタートでのイン逃げという圧巻の内容。SGクラスの選手たちでも柳沢のイン戦を破るのは至難の業だった。 徳山MB大賞でも鉄壁のイン戦を武器にV争いをにぎわせるのか注目したいところ。柳沢は徳山通算7優出0Vで、まだ優勝歴がない水面は桐生、住之江、鳴門、徳山、芦屋の5場だけ。徳山初Vを飾って全場制覇へ一歩前進したい。
 永井彪也が長いトンネルからなかなか抜け出せないでいる。22年はSG・G1を16節走って準優出3回、優出ゼロというまさかの不振。特にSGはボートレースクラシックで予選37位、ボートレースオールスターで予選47位、グランドチャンピオンはフライングで賞典除外、オーシャンカップは予選44位、ボートレースメモリアルは予選42位と、出場した5節すべてで惨敗を喫した。その結果として年間賞金ランキングは100位(12月22日時点)と低迷。22年はヤング世代の上條暢嵩と羽野直也がグランプリ初出場を果たすなど若手の活躍も光った一年だったが、これまでヤング世代を引っ張ってきた永井はグランプリシリーズ出場さえ逃す失意のシーズンとなった。 そんな永井は22年11月に30歳を迎えてヤング世代を卒業。もう若手と呼ばれる時代は終わった。これからは結果を残していかなければ記念戦線に生き残っていくことも難しくなってくるだろう。23年は本来の力を取り戻して再び躍進する一年にしたい。 徳山MB大賞は存在感を見せるチャンスだ。徳山はこれまで3節しか出場歴がないが、19年の一般戦で馬場貴也らとV争いを演じて優出4着に入った経験がある。持ち前のキレ味鋭い走りで大暴れしたい。
 丸岡正典は徳山周年の歴代覇者の1人。11年の58周年記念で優勝している。準優3号艇で3コース差し、優勝戦3号艇で3コースまくりという鮮烈な勝ちっぷりを連発して頂点に立ったのを覚えているファンも多いはずだ。丸岡は翌12年の徳山MB大賞でも優出4着に入るなど当地実績は十分。今回の徳山MB大賞でも間違いなく有力なV候補の一角となるだろう。 丸岡は、22年は久しぶりに記念戦線での活躍が光り、2月の近畿地区選手権で優出4着、7月の尼崎SGオーシャンカップで優出5着、11月の高松宮記念で優出2着とSG・G1優出3回をマーク。19年~21年は3年連続でG1優出1回ずつにとどまっていたが、かつての力を取り戻しつつあることを印象づけた22年シーズンだった。 丸岡といえば以前はまくり速攻のイメージも強かったが、近年は武器になっているのがまくり差しだ。21年は全選手中2位となる20本のまくり差し1着を奪い、22年も2ケタに乗る12本(12月22日時点)のまくり差しをマーク。尼崎オーシャンカップの準優で5コースまくり差しを決めて優出したのも印象深い。徳山MB大賞でも鋭く艇団を割るまくり差しが飛び出すのか注目したいところだ。
 22年の原田篤志は2月の中国地区選手権で優出4着、4月の戸田周年で優出3着に入る活躍。年間2回の記念優出は16年以来で自身2回目のことだった。これで賞金を上積みしたのが効いて7年ぶりにSGグランプリシリーズにも出場。年間獲得賞金は約4330万円(12月23日時点)で自己記録を大きく更新する額になった。 原田の進化はデータにも現れている。前期の平均STがコンマ15でこれは自己ベストの数字。スタートの安定感が増したこともあり、イン1着率は前々期66.7%から前期87.5%まで大幅アップした。また前期は差し1着が11本を数え、これは全選手中6位タイの好成績。スリットで好位置につけて展開を突くレースも増えている。 そんな充実した戦いぶりだった22年シーズンだが、心残りなのは優勝ができなかった点だろう。原田は20年が7優出0V、21年が15優出0V、22年が10優出0Vと、優出は多いもののここ3年連続でVゼロ。19年12月の多摩川戦を最後に3年以上も優勝から遠ざかっている状態だ(12月23日時点)。 徳山MB大賞では久々の優勝とG2以上初Vをめざしたいところ。43歳となってなお進化を続ける原田だけに、23年が大躍進の一年になっても不思議ではないだろう。
 22年の大峯豊は"一般戦の鬼"と化した。一般戦を23節走って17優出5Vの大暴れ。優出率74%をたたき出し、1月の尼崎戦、7月の児島戦、8月の徳山お盆レース、10月の住之江戦、11月の尼崎戦と次々に優勝を重ねた。ナイターでもモーニングでも淡水でも海水でも優勝をマークする水面不問の活躍ぶりだった。 それだけに記念戦線で大暴れしきれなかったのが歯がゆいところだ。22年は記念レースを10節走って準優出4回という成績。優出は2月の中国地区選手権(5着)の1回だけだった。4月の蒲郡周年で準優3着、12月の下関周年でも準優3着と惜しいレースはあっただけに悔しさがつのる。23年は記念優出ラッシュで鬱憤を晴らしたい。 大峯にとって23年のG2以上初戦となるのが地元の徳山MB大賞だ。ここで幸先良いスタートを切って勢いに乗りたい。徳山では通算31優出8V(12月23日時点)という申し分ない実績。G2以上でも15年に徳山MB大賞で優出4着、18年に徳山周年で優出3着に入った経験がある。 大峯は10年に児島での中国地区選手権でG1初Vを飾ったが、なかなか2つめの特別競走Vに手が届いていない状態。この徳山MB大賞で久々の栄冠と地元G2以上初Vをめざす。