ピックアップレーサー記者コラム

ピックアップレーサー記者コラム

※ピックアップレーサーを戦国時代の女性に見立てております。史実には、諸説ありますので、エンターテイメントとして温かい目でご覧ください。

香川素子

5月に開催された住之江オールスターでSGデビューした香川素子。選手生活23年、43歳にしての初舞台だった。その素地の確かさは、レースぶりからファンに浸透している。判断や行動が的確で舟券貢献度が高いからである。

競走は『攻撃的自在スタイル』。単なる自在ではない。インでの1着率が約70%あるばかりか、センター戦に強い。とりわけ3コース時はスタートが速く攻撃的になるのだ。そして、4コースも成績がいい。攻めるべきは攻めるが機をみるに敏、先読みして展開を鋭くとらえてくる姿を示している。推理上、『なんだか気になる』ゆえんである。

息子の香川颯太が昨年11月にデビューしたのもモチベーション。母も背中で語らねばならない時がある。

そして、過去3回の優勝を飾っている地元びわこが舞台だ。直近のびわこVは今年2月のW優勝戦。インから逃げている。

香川素子らしい、硬軟織り交ぜたレースにぜひ期待したい。

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とは?

明智光秀の母。実子明智光秀を織田信長の重臣、戦国有数の武将にまで育てあげた厳しくも心優しい、戦国時代を力強く生き抜いた女性。

守屋美穂

守屋美穂は、ともすればギャップを統合する。例えば、『強さ』『美しさ』『淑やかさ』『厳しさ』『情熱』『冷静さ』などである。これだけ幅のあるものが一人の人物の中で見事に融合しているのだ。これほど深みのある女性は少ないだろう。それがどこからくるのか気になるが、激しい感情や負けん気が源泉ではないだろう。「見ていてください」という言葉で分かる気がする。

なぜなら、「見ていてください」というメッセージに結果への約束は存在しないから…。全身全霊を傾けるので感じてください、というプロセスへの誓いを語っている。内容のある過程を経てこそ、ファンが共感してくれるのだ、という哲学を端的に物語っている発言は、実に女性的で上品である。

当然、レース自体にも品があるが、『お先にどうぞ』という品ではない。『ファンの皆さんに捧げて恥ずかしくない』という品性である。昨年はV5。内、芦屋G2モーターボート大賞も制している守屋美穂から絶対に目が離せない。

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玉子(細川ガラシャ)とは?

明智光秀・煕子(ひろこ)の娘。細川忠興の妻。戦国最大の美女と呼ばれるほど美しい女性であったと言われている。ガラシャはキリスト教徒であった玉子の洗礼名。

長嶋万記

「自分の可能性に挑戦したいですし、周囲もそうあってほしいです」。長嶋万記はこういう。同じ高校の先輩・大瀧明日香に憧れこの世界に飛び込んだアスリートだ。当初は考えてもいなかった結婚や出産を経たことで心境の変化があったという長嶋。『マキプロジェクト』という社会貢献活動が一般社団法人ZEROの立ち上げにつながっていく。

手間のかかることに腐心できるのは、手間は愛に通じるという信念があるからだろう。

多彩多様な取り組みに力を注ぐことで、一生懸命であることの価値を伝えようとしているようにもみえる。

「私はバードアイって呼んでいるんですが、上から全体を見渡す感じ」で世界を俯瞰しようとする姿勢は、レースの全体像をつかむことにも効果があるだろう。

「ターンをする時、へそで立つっていうんでしょうか。昔のサムライのように、気配を感じさせず素早く動くようなターンができないものかと模索しています」と語る長嶋万記が、きっと展開の主役となる。

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とは?

お市の娘(三女)。2代将軍徳川秀忠の妻。3代徳川家光の母。2011年にNHKで放送された大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」で描かれた女性。徳川幕府の2代将軍の妻、3代将軍母として二百数十年に及ぶ太平の世を築く礎となった女性。

平山智加

『ボートレーサー平山智加、Youtube始めました!!』

多くのファンが驚き、歓迎した平山智加の行動。そこには、ボートレース界だけでなく広く社会を見てとろうという考え方がうかがわれる。ファン向けの発信にとどまらず、ボートレースをまったく知らない方々へのメッセージが込められているからだ。

『自分はレーサー。だから勝つことで貢献したい』と言ってしまえば済むのだが、それをヨシとしない。『根本的なところから考えていますね。大きな世界観を感じます』という投げかけに、平山はニコリとほほえみを返した。誰かがやるのではない。自分が背負ってやろう、という決意が表れている。

「男女平等で年齢も関係ない競技」に憧れてプロとなり6年目。2013年には、強豪男子を相手にGⅠ尼崎周年記念を制した。そしてその年の大晦日、芦屋のG1クイーンズクライマックスで憧れのティアラを頭上に戴いた。

今、その視線上に浮かぶのは、自分自身の栄光への道ではないはずだ。ボートレースの行く先であり、ファンが喜ぶ姿…。そのカタチひとつがびわこで示される。

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煕子(ひろこ)とは?

明智光秀の妻。明智光秀の長い浪人時代を支え続けた良妻賢母。NHK大河ドラマで女優の木村文乃さんが煕子役を演じている。

大瀧明日香

大瀧明日香選手は良縁に恵まれている。『ボートレース好きの父』に育てられ、『同じ高校の後輩・』長嶋万記が慕ってくれた。選手になると『人格者・大場敏』の薫陶を受け、その後、『夫となるボートレーサー・渡辺真至』と出会う。一つひとつの結びつきを大切にしてきたからこそ今がある。

A1とA2の行き来はあるが、A級キープは19期連続。外連味(けれんみ)のない競走が持ち味でウイークポイントを感じさせない。穴がないレーサーである。

スポーツの強豪・常葉菊川高校で、バスケットボールに打ち込んだ大瀧のポジションは、司令塔のポイントガード。視野の広さが求められるが、それはそのままレースに反映していると言っていい。判断もさばきも実に的を射ている。もの静かだが、芯のある女性である。

今年は5月の平和島オールレディースで優勝しており流れもいい。びわこ初Vの可能性は小さくない。

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とは?

お市の娘(次女)。京極高次の妻。美人姉妹と言われている浅井三姉妹の中で、実は一番美貌の女性であったという話もある。一時、夫京極氏が近江大津城に任じられたことから、滋賀県所縁の武将である。

谷川里江

登録番号3302、愛知支部の谷川里江は、世界最小のプロレーサーである。

かつての登録は144㎝。岡山の樋口由加里と同じ値であったこともあったが、最新の公式データは樋口が145㎝、谷川が142㎝である。ギネスブックものだ。

明るく豪放磊落な父は、元ボートレーサー。それも記念常連だった。その背中を見ながら育ってきたのが谷川里江である。父親譲りなのか、お茶目で意外性のある行動を取ることがあるが、過去のオールレディース前夜祭で披露したコスプレは好例。人が喜ぶことを楽しみにできる人物だ。そしてボートレースが大好きなのである。

その戦歴は華々しく、通算の優勝回数は45回を数える。なかにはGⅠになっていなかった当時の『女子王座決定戦』も入っているが、このタイトルを取ったのが1994年3月の浜名湖。さらに、翌年の多摩川も勝ち一時代を築いて現在に至っている。が、まだまだ強い。2005年10月に通算1000勝を、2019年9月に通算2000勝を達成している女子シンボルレーサーがびわこ3回目の栄冠を目指し戦うことになる。

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北の政所(ねね)とは?

豊臣秀吉の妻。農民から天下人にまで昇りつめた豊臣秀吉を支えた。織田信長が北の政所の機嫌を良くするため、わざわざ手紙を送った逸話があるほど気遣いを見せた女性。猛将の福島正則、加藤清正も母と慕った徳の高い女性。秀吉が領主であった時代に、今の滋賀県長浜市の長浜(旧名今浜)という地名をつけた。

海野ゆかり

ボートレース界は女子流行り。人気は高まる一方だが、その要因は何だろうか。

⓵選手の人数が223人と限られ覚えやすい

⓶選手の優劣がハッキリしており予想しやすい

⓷戦法が明確で展開が読みやすい

⓸本命筋だけでなく高配当が出るパターンも推理しやすい

⓹「可憐さ」「美しさ」「優しさ」「凛とした姿」に魅力を感じる

⓺ファン対応が親切丁寧で応援したくなる…などがあるだろう。

そのすべてをリードしてきたのが海野ゆかりである。今のレディースチャンピオン、かつての『女子王座決定戦』は2004年の多摩川と2016年の津の2回取っている。真の実力派は『ボートレース界のタカラジェンヌ』と呼ばれている。まぎれもなく女子選手の象徴である。

その背景にあるのは、豊かな経験と感性に基づく調整力と整備力。劣勢機を幾度も立て直してきた実績がある。

「強い」とか「うまい」とかだけでなく、「素朴に取り組む」姿勢も根底にあるのだ。

びわこは2009年と2017年に優勝している。美しさと強さの融合を堪能したい。

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お市とは?

織田信長の妹。浅井長政の妻。後述の茶々・初・江の浅井三姉妹の母。金ヶ崎の戦いで、兄信長の危機を知らせるため、袋の両端を縛った「小豆の袋」を陣中見舞いに送り、浅井、朝倉軍の挟み打ちを伝えたという逸話が有名。滋賀県には、お市、浅井長政が湯治したされる「須賀谷温泉」がある。社会情勢が落ち着いたならば、ぜひ足を運んでいただきたい名湯である。

茶谷桜

5月24日、ボートレース多摩川のヴィーナスシリーズで茶谷桜が選手通算500勝を達成した。イン逃げの勝利だった。

「選手デビューした場所で、節目を迎えられて良かったです。20年はかかり過ぎですけどね…」と取材陣に語り、照れたのはいつも通りの姿だ。

1998年に多摩川で初出走、レースセンスを感じさせる『さばき』を武器に戦ってきた。手堅くレースすることができる一方、ときに意外性もある。そして優出は16回を数える。ただ、優勝歴がないのが不思議なくらいだ。

ほんとうは初優勝を成し遂げたいに違いないが、大言壮語しない茶谷。それでも「優勝できるようにがんばります!」とコメントしたこともある。

今回の舞台は第二のふるさとびわこだ。乗り心地を重視して「優勝できるようにがんばる」に違いない。

あとは地元ファンの応援が後押ししてくれるだろう。

舟券作戦上は、自在で堅実な『さばき』重視の展開が軸。本線にも穴目にも欠かせない存在としてマークしておかなければならない。

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茶々とは?

お市の娘(長女)。豊臣秀吉の側室(淀の方)。豊臣秀吉の側室となり、秀頼を生んだことにより、権勢を誇った。戦国時代を強く気高く生きた女性。

塩崎桐加

「好きな艇番は4番。攻めることができる位置ですし…」。これは塩崎桐加の言葉だ。全速スタートから思い切りよく行き切るレースは迫力満点。展開待ちのレースをほとんど見ない。「自分らしいレースをしたい」という宣言がよく理解できる。

「周囲からいっぱい吸収したい」。こうも語る塩崎は謙虚で優しい女性。自らの子どもには心の大きな人になってほしいと願っている。

家族をとても大切にするママさんレーサーは、「オンオフの切り替えをしっかりして」水上に出ている。で、なければあのスピードレースはできない。その姿は実に頼もしい。

産休明けにいきなり5点台半ばを出すと、そのままA級を4期連続キープ。来期もA2だ。つまり、素地がしっかりしているのである。木材なら上質な桐に該当するだろう。

「おじいちゃんがつけてくれた名前」を大切にするなど、おもいやりに満ちた塩崎桐加。水上では、そのハートがファンに向けられることになる。しびれてしまうのはレースだけではないはずだ。

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まつとは?

前田利家の妻。2002年にNHKで放送された大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」で描かれた女性。ドラマでのセリフ「わたくしにお任せくださいませ」で、様々な難局を乗り越えていく、まつの知恵や心の強さには、多くの方が感銘を受けたのでは。

富樫麗加

『人は見かけによらない』。富樫麗加がいい例である。花の都・東京出身で外見も華やか。いかにも手を汚さず楽々生きていけるお嬢様風情だからである。

しかし、内面は違っていた。「女子だから…って甘くみられるのが嫌」だというのだ。男女の別なく競えるボートレースとの出会いは、まさに運命的だった。

名高い白百合女子大学1年生のとき、偶然通りがかったボートレース多摩川から轟音が聞こえてきた。6艇が競い合うモーターのうなりだ。戦いの激しさを伝える音に惹きつけられ、富樫はレース場通いを始めることになる。

見れば見るほど魅力的なボートレース…。自らが水上を走ってみたいと思うようになるのに時間を要しなかった。それは自然な流れ。運命に従順な人である。

近況5.53の勝率をマークし、7月から3期ぶりにA2にランクアップする富樫麗加。外見と裏腹な勝負根性をびわこで見ることができる。

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井伊直虎とは?

井伊の赤備え、彦根藩祖井伊直政を育てた女城主。2017年にNHKで放送された大河ドラマ「おんな城主 直虎」で描かれた女性。力が正義の戦国時代に、女性城主として大活躍したハイパーキャリアウーマン。

勝浦真帆

かつて『ボートレース王国』と称された岡山県。強豪ぞろいであるばかりか、威勢のいい若手が泉のように沸いて出てくることから、そう言われた。しかし、その勢いが落ちてしまった時期があった。存在感を示す選手が減ってしまったのだ。

『何とかしたい…』。強い願いをもった先輩らは、若手と練習をはじめた。全国屈指の練習量はこうして生まれたのだ。先輩だけでも成立しないし、若手のみでは成しえない境地である。

そんな真剣で真摯な岡山勢をそのまま体現している女性レーサーがいる。勝浦真帆である。

岡山を代表する『イーグル会』の小畑実成が師匠。正統派は、「人に会ったりお話しすることが自分のモチベーションでありリフレッシュ方法です。練習に行ったらいろんな人に会えるのがいいです」と朗らかだ。

その成果もあるだろう。まだ優勝はないが、近況5点を超える勝率をマークするようになってきた。選手になって満5年。いよいよステージアップの時を迎える。

スタイルはセンター・アウトからの加速感あるスタート攻勢。波乱要素をふんだんに含んでいるレースをアテにしているファンは多い。

そのニックネーム通り、『かっちゃん』が勝っちゃうびわこかもしれない。

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千代とは?

山内一豊の妻。織田家の馬揃えで夫のためにと、嫁入りの際に持参した金10両を夫に渡し、馬揃えにて織田信長の感心を得たのは有名なお話である。まさに内助の功という言葉にふさわしい女性といえる。