ピックアップレーサー記者コラム

ピックアップレーサー記者コラム

3388今垣光太郎

「嫌われてもいいです。ファンのために走るので…」。かつて、今垣光太郎本人が語ったことがある心の叫びである。50歳になってもなお、変わらないのは目指す方向性が貫かれているから。その姿に励ましを得て病魔と闘うファンがいることなどを知っているからこその言動である。

3コースのダッシュ戦や完全に抜け出すトップスタートを繰り出すなど、時として奇想天外な作戦や、意外性を発揮する。そのレーススタイルに魅力を感じる応援者が多いのは事実。『光ちゃん』ファンは圧倒的に情熱的である。

SG優勝は1999年3月の児島クラシックをはじめV9。GⅠタイトルは29を数えるが、この中にびわこも含まれている。1998年と2002年のびわこ周年である。さらに、2010年にはGⅡ秩父宮妃記念も取っている。つまり得意水面である。

昨年は宮島のマスターズチャンピオンと浜名湖ボートレース甲子園を制したが、今年は地元三国の第2回ボートレース甲子園で苦杯をなめた。負けじ魂に火がつかないはずはない。

難しければ難しいほど、困難が大きければ大きいほど存在感を示すのが今垣光太郎である。


3721守田俊介

「かめはめ波~!」…。その声とともに紙吹雪が舞ったのは2015年10月の浜名湖・ボートレースダービー。守田俊介が初のSGタイトルを勝ち得た優勝セレモニーは『笑いと喝采』が交錯する舞台となった。

「僕に元気玉をください!」というオープニングセレモニーでの願いにファンは惜しみなく声援を送り続けたが、その優勝賞金全額寄付をもって社会への深い感謝を表した。応援したくなるのは当然だ。

そして、その優勝報告会で、『整備もプロペラもしない』と言われて久しいが、「あまりに素早くたたいているから、見えないんです」と言い放ち、会場全体が笑ったのは爽快だった。

そして2018年の蒲郡ダービーでも栄冠を手にした。今度は「かめはめ波~!」はなかった。そんな守田だが、イメージほどの自由人ではない。実は人をよく見て支えようとする人格者であり、守田俊介を頼りにする若者や同世代は多い。懐が深いのだ。

全106回の優勝の内、地元びわこはV25。GⅠV3、GⅡはV1。周年記念は2014年と2018年に制している。江戸川や福岡とは異なるうねりがあり乗りこなすには経験と技が要る独特な水面を支配する可能性は高い。

人を大切にする男に共感は集中する。


3960菊地孝平

昨年12月の住之江グランプリ。菊地孝平はトライアルセカンド最終戦で思い切った動きをみせた。スタート展示では5コースだったが、本番は2コースにもぐりこんだのだ。6号艇だったので誰もが意外だと感じた。

これについて後日、菊地孝平はこう述懐している。

「自分は1着条件の勝負駆けとみていました。4号艇の石野選手が相当出てたのはみんな知っていましたが、スタート展示で改めて確認してしまった…。これに勝つには内に入るしかないという選択だったのです。自分としては伸るか反るかの勝負でした」。

誰も踏み込めない領域まで突っ込んでいくスタートといい、コースといい、しびれるような選択をするのが菊地孝平である。映画『ミッションインポッシブル』の主人公・イーサンハントではないが、『いつもギリギリさ』を地で行っている。

「プロペラを自分のスタイルに変えるか、前の形を尊重するかは調整の分かれ目。感性も駆使し、とらわれず判断することが大切です」と語る菊地孝平が初優勝の地・びわこで八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をする可能性は大きい。


4320峰竜太

『GⅡ第2回全国ボートレース甲子園』で劇的な優勝を遂げたのは佐賀県代表の峰竜太。3コースから鮮やかにまくり差した。

レース直後、「逆転満塁ホームランを決めました!展示が終わってから、100回くらい頭の中でイメージトレーニングしました。全国制覇できました」と感激を隠せない様子だった峰。今年はこの三国まででV10。内GⅠは2つ、GⅡ1つである。

「今までの年間優勝回数は16回が最高(昭和51年=1976年の野中和夫さん)らしいので、17回を目指していきます」と話した通り、前人未到の領域に挑戦する気概に満ちている。

記録を持つ野中和夫さんも、「これから記念レースあっせんが多くなるので難しさはあると思いますが、峰君には期待しています。その場合、当然勝率も伸びるはず。9.50台までいってほしいです(峰は7月16日現在9.38)」と話している。(期間最高勝率は野中和夫さんの昭和52年前期=1977年前期(審査対象は前年5月~10月) 9.53)

「今は自分の普通の力と思っている。これからもっと強くなりたい」と宣言した峰竜太。

5年連続勝率1位、2018年のグランプリレーサーがびわこの水面を席捲するシーンを見逃してはならない。


4371西山貴浩

「とうとうやりました!」。2018年4月、常滑GⅡモーターボート大賞で逆転優勝を果たした直後の西山貴浩の言葉だ。デビュー丸2年でA級勝率を獲得、以来B級陥落は一度もない。エンターテイナー顔負けのユーモアあふれるリアクションは誰もが知るところであり、『舟券でも楽しめる』のが西山貴浩だ。

事実、現勝率7.25は、70.2%の3連対率に支えられている。信頼に値する数字だ。背景に何があるのだろうか。

選手をはじめ解説者からは、「西山選手は、まず接戦に強い。競ったときの位置取りや旋回の選択が実に巧みだ」という声が聞こえてくる。本人は「差し最高!」などというが、実は違う。全速戦もあれば、さばきもあるし、他艇を自由にさせない老獪(ろうかい)さもある。

加えて3コースが強い。「イメージにないでしょ!でも数字はそうなんです…」とファンの前で語ったこともあるくらいだ。覚えておいて損はないだろう。

朗らかな振る舞いの向こうに、「結果でファンをうならせたい」という気概を隠している西山貴浩。破顔をびわこでも見たいものだ。


4444桐生順平

2011年5月の尼崎オールスターが桐生順平のSGデビュー。以来、9年1カ月半で61回もSGに参戦、優勝3回(2015年と2017年のクラシックと2017年のグランプリ)とまさに時代の寵児(ちょうじ)である。

素質はいうまでもないが、その背景に『鋼の精神力』があることを忘れてはならない。手ごわい記念常連組の壁を破るため、逃げることなく挑戦し続けてきた積み重ねが強さの背景にある。競って競って競り通すことで、乗艇技術を磨き勝負強さを身につけてきたのだ。

取材に対し「前検日は機力について答えられる材料が少なくて…。分かれば話します」と言うことが多いが、これは『ごまかしのなさ』ゆえ、適当なことは決して言わない性格である。真摯(しんし)な人物に、まだびわこの優勝歴はないが、本人は気にしていないはず。ヤワな性格だったら、このステージにはいない。難水面が苦手という先入観を持ってはならない。

潔さが魅力。そして真っ向勝負が見る者のハートを動かす桐生順平。その雄姿を愛でるびわことなるだろう。