ピックアップレーサー記者コラム

ピックアップレーサー記者コラム

3960菊池孝平

昨年末の住之江グランプリ、トライアルセカンド最終戦で菊地孝平は乾坤一擲のレースを見せた。スタート展示5コースだった6号艇の菊地は本番2コースにもぐりこんだ。結果は5着敗退…。しかし、「1着勝負の自分に与えられた可能性を必死に考え手繰り寄せたうえでの選択でした。出ている石野選手の内からいいスタートを切って先マイする作戦…」と振り返っている。事実、06のトップスタートだった。真剣勝負のカタチである。

ファンを前にし、ボートレースの魅力を積極的に伝える菊地孝平は、「展示で後ろ荷重のターンになっていたら出ていると思ってもらって構いません」と話したことがある。一流選手といえどもモーターの状態によって乗艇フォームが変わるというのだ。参考にしたい。

びわこは難水面と言われるが、菊地孝平は過去V4と相性がいい。おまけにデビュー3年目の2001年5月に初優勝を飾っている出世プールである。ドリーム戦からその雄姿が注目される。


4266長田頼宗

長田頼宗を語るうえで、2018年5月の『G2びわこモーターボート大賞』を欠かすことはできない。その前の月の住之江周年、長田はオール3連対でシリーズリーダーになり優勝戦1号艇になっていた。しかし、6号艇の平尾崇典のまくりに屈し5着敗退。まさに苦杯をなめている。そんな悪いイメージがよぎってもおかしくない中、インからコンマ05のトップスタートを決めて逃げ切ったのだ。その精神的背景を考えると意義深いが、本人も「あれがあったから勝ちを意識できている。負けて得るモノは大きかった」と周囲に語っている。

「スタート力があるとか、ターンがうまいとか、整備・調整力で秀でているというわけではない」と謙遜するが、乗り心地やターン回りを重視することはぜひ念頭に置いておきたい。だからコース不問。6コースからでもボートを操って連に絡んでくるのだ。ましてやイン絶対とはいえない難しい水面が舞台である。2015年のグランプリシリーズ戦のタイトルを持つ関東の雄には頼もしさがある。


4337平本真之

「どんな時も笑っていたい。そうしていることでかなえられることがあると思っています」。平本真之はそう語る。事実、2016年後半から2018年までモーター運に恵まれず調整面でも苦しんできたが、常に朗らかだった。そんな姿勢が結果につながったのが昨2019年。記念Vこそなかったものの、SGやG1で堅実に優出を重ね賞金ランキング17位、3年ぶり2回目の大舞台に立つことができたのだ。

その姿同様、持ち味は爽快な勝ちっぷり。インの強さはもとより、キレのいいまくり差しがさく裂するとき波乱さえ演出する。

高校野球をやっていた時代から謙虚で一生懸命。自分を必要以上に大きくみせることのない実物大の人間性にも魅力がある。

びわこは、昨年7月の『日本財団会長杯』でインから逃げて優勝している。オール2連対でシリーズリーダーとなる過程で見せたセンター&アウトからのまくり差しや抜きが強く印象に残っている。ドリーム戦の枠番も絶好。初日から目が離せない。


4296岡崎恭裕

SG V1、G1 V2、通算優勝41回の岡崎恭裕は現在21場を制している。残すは鳴門と徳山、そしてびわこである。今回の舞台・2015年以降のびわこではG1が2節、G2が1節とあっせん機会が少なくデータは乏しいが、決して不得意ではない。妨害失格や途中帰郷があるものの、21走の3連対率は71.4%。3回ある1着は、まくりかまくり差し。攻めて勝利しているのだ。

ちなみに、難水面と言われる福岡は優勝5回。また江戸川は2017年3月のダイヤモンドカップで4コースからまくり切って栄冠を手に入れている。つまり水面を言い訳にしない強さがある。

そのレース力の源泉は『レース足』にあるだろう。「乗りやすさがある」「行き足がいい」、…岡崎恭裕がこう口にする時、操縦とボートの動きが連動し十分戦える状態であることを教えてくれている。そんな時はコース不問で面白味がある。

『勝ち負けがハッキリしている』。多くのファンからよく聞く岡崎恭裕評は、穴目を追及することもあるボートレースびわこファンにも適っているといえるだろう。


4828松山将吾

びわこを本拠地としている滋賀支部は少数精鋭である。現登録選手は44名。全18支部中最少である。210名で最も人数の多い福岡支部のおよそ五分の一。それでも記念戦線で活躍する選手は多い。2006年に滋賀支部にSG初タイトルをもたらした中村有裕がその扉を開き、守田俊介・馬場貴也のSGウイナーの他、吉川昭男に川北浩貴のベテランとその背中を追いGⅠV2で急成長中の丸野一樹に、女子第一人者の遠藤エミ…。枚挙にいとまがない。

その中にどうしても加えなければならないのが、松山将吾である。

「松山将吾くんは真面目。どんなことにも真摯です。だから研究心が旺盛で、ものごとを突きつめて考えるタイプですね」とは、馬場貴也支部長の言葉。さらに、「それにセンスが伴っています。自分でいうのも何ですが、僕が若い頃より素質があると思う…」と高い評価を与えている。一方、A級昇格と初優勝に4年を要するなどやや苦労したが、そのぶん力を貯めてきたとも言える。今回の記念を機に爆発する時期がやってきたと期待したい。

なぜなら、2018年は地元びわこを11節走り、4優出1優勝だったが、昨2019年は8節走って優出ゼロに甘んじている。流れを変えるなら今だろう。

課題はスタート。スリット隊形の出入りの激しさが解消されれば安定した結果が残せるはず。前検から、『行き足』についてのコメントに注目したい。


4418茅原悠紀

スターは10代の頃から周囲の目を引く。茅原悠紀がそうだ。2006年のデビュー節で1着を取ると、その勢いで3.67の勝率をマーク。10カ月で優出するなどすい星のごとく現れたニューフェイスだった。

養成員時代の勝率は7.03。水摩敦の7.17に次ぐ同期2位の勝率をマークしていたが、本人は不満だったはずだ。「ボートレースが好きで好きでたまらなかった」少年はアマチュアチームに所属しプロレーサーを目指してきた道程を踏んでいる。合格は受験5回目だった。成長の原動力は『情熱』である。

そんな茅原悠紀の思いが満開になったのが2014年の平和島グランプリ。6コースから差し切って1億円を手にした。その水上パレードの姿が多くのファンの記憶に刻まれている。

これまでV41、18場を制しているが、淡水プールはびわこを含め4場が未制覇。ここでやるしかないだろう。今年のグランプリは、かの平和島。勢いをつけていきたい。

スターの条件である『期待という重責を重荷とせず、希望に変容させる素養』を持ちあわせている茅原悠紀。びわこでさらに飛躍する。